「センタートラックベアリング」を 「曲面ベアリング」に 加工してみる


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タイトルを見て「なぁにこれぇ?」と反応される方が多数と思われる超絶マニアックなネタ。

工業部品の加工に興味がない方にはあまり恩恵の無い記事です。

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ベアリングあれこれ

 

過去に何度かに渡ってベアリングの記事を書いてきましたが、

 

 

 

 

 

 

 

今回は今まで以上に「どこ需要だよ!」とツッコミたくなるような加工方法をご紹介します。

 

 

 

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個人的な趣味のヨーヨー。↑

競技用のヨーヨーの中心部(軸周り)には「ベアリング」と呼ばれる金属パーツが使用されており、「回転が命!」なヨーヨーにとって重要な役割を担っています。

 

 

 

 

様々なベアリングの種類

今回の主役であるベアリング。

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右から「センタートラック」「通常のベアリング」「曲面ベアリング(コンケイブ)」

ベアリングのサイズや薄さ、中のボールの数、素材等を除いた“形状的な括り”で言えば、大きく3種類に分けることができます。

 

 

 

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通常のベアリング

見た目の特徴は無くフラットな状態で、可もなく不可もなくを地で行くスタンダードな形状。

価格は¥390〜¥990ほど。

 

 

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次に「センタートラックベアリング」

段階的な溝が付いたベアリングで、糸が自然に“中心”へ留まることにより、糸とヨーヨーとの接触(スリーブロス)を低減することが可能です。

 

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「ヨーヨーのためだけに作られたベアリング」と言って過言じゃない種類で別名「UFOベアリング」とも呼ばれています。

 

お値段がグッと上がって¥1,470ほど。

 

過去にブームとなったハイパーヨーヨーならば本体が買えてしまうほどの価格です。

 

 

 

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最後に「曲面ベアリング(コンケイブ)」

 

センタートラックに比べてラウンド状に付いた溝が特徴。

DIF(ディフイーヨー)というメーカーが開発したベアリングでこれもヨーヨーに特化したものです。

 

高い精度が長い回転に貢献しており一度使うと通常のベアリングには戻れないレベルで、多くの大会競技者の方々はこのベアリングを選択して使用しています。

 

お値段は驚きの¥1,990

 

興味のない人からすれば「お前は一体何を言ってるんだ?」と首を傾げてしまいそうな価格です。

実際にこの記事をまとめている自分も「2,000円あったら他に何が買えるよ?」と一瞬だけ我に返ってしまうことがあります。

 

個人的には“お値段相応の価値”があるので特に高いとも思いません(末期

 

 

 

 

事のはじまり

 

コンケイブを購入してからというもの手元には使わないセンタートラックが複数余っており、ふと双方を見比べた時、

 

「溝を綺麗に削り落とせば「曲面ベアリング」になるんじゃね?」

 

と思ったのが 不幸の始まり 今回のきっかけ。

 

もし上手く行くのならコスト的な意味でメリット絶大!です。

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比べてみると「溝が入ってる」という点で合致していますね。

 

 

必要な材料

思い立ったが吉日。

気が付けば机の上には細かいパーツ郡が散らばってました。

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用意するモノは90mmくらいのボルト、ナット、ワッシャー(金属とゴム)。

すべてホームセンターで揃えることができます。

 

 

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写真のように

ボルト / 金属ワッシャー / ゴム / ベアリング / ゴム / 金属ワッシャー / ナット

の順番でベアリングを固定します。

※あまり締め込み過ぎるとゴムが潰れて後々大変なことになります(後記)かと言って締めが甘くてもマズイので適度な締め具合で固定してください。

 

 

 

研磨作業の開始

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今回メインで活躍してくれる「ボール盤」(自前)の登場。

回転中にベアリングが飛散することを恐れて野外での作業です。

 

 

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ドリルチャックに先ほど固定したベアリングをセット!

 

 

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溝を削る道具は「チェーンソーシャープナー」を選択。

文字通りチェーンソーの刃を研磨するヤスリなので、硬度的には申し分ありません。

ボール盤の電源をONにして、高速回転するベアリングに向けてシャープナーを・・・

 

 

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     / 当てます! \

 

 

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写真では制止しているため非常に穏やかな雰囲気を醸し出していますが、実際はすさまじい金属が削れ合う甲高い音が響いています。

 

その後、ドリルチャックの根本からはずれて「コマ回し状態」になり寿命が縮むこと2回・・・

 

 

 

 

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とりあえず途中で様子見。

簡単に行けると踏んでいましたが意外と固い?

素材はステンレスなのか線状の傷が付いたのみでラウンド状の溝にはなっていません。

 

 

思わぬトラブル

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      ?!

ふと目にしたシャープナーの方が削れてフラットになっており、しばらく何が起こったのか放心状態でした。

 

これは・・・ ちょっと一筋縄ではいかないご様子。

 

 

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シャープナーに耐水ヤスリを当てて削るを繰り返すこと30分。

 

 

 

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なんとかソレっぽい溝になりました(鏡面研磨については後記)

 

 

ある程度の完成が見えたので、ひと息いれようとしたところ・・・

 

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       なぁに、これぇ?!

 

ベアリングシールドがマンガみたいにひん曲がっています。

 

高速回転に耐えうる固定を施すため、必要以上にネジを締め付けたことがアダとなりベアリングシールドが湾曲すると言ったアクシデントが発生。

 

急いでシールドを交換しようと針で突っついて持ち上げた結果・・・

 

 

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 NOOOOOOォォォォォォオオオオオオォォォオオオオ!!

 

 

軽く持ち上げただけで ベアリングが空中分解 とか、人生初の体験です。

 

 

あまりのショックに「今までの苦労は・・・」と放心状態になると思いきや、

 

「なんで分解するんじゃい!フ○ック!」

 

と、理解不能なやる気がガンガン湧いてきました。

 

 

 

 

気を取り直して再チャレンジ

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反省を踏まえて「キツくもなく緩くもない固定」を施して、研磨を再チェレンジ。

 

 

※ある程度慣れてきたため室内でおこなってますがメチャ危険です。

 

 

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意外にも“チェーンソーシャープナー”よりも、目の荒い紙やすりの方が研磨に適していることが判明したため、スタート直後から180番手くらいからスタート。

 

 

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徐々に細かい紙やすりに切り替えていき、磨き作業の仕上げとして、「青棒」(研磨粉)を当てて回転させます。

 

 

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数分研磨しただけでこの輝き。

 

 

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恐る恐るシールド部分をチェック。

今回は曲がることなく無事 のようです。

 

 

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角度によって段階的な溝になっているものの、加工前のものと比べるとちゃんとラウンド状の溝になってました。

 

 

 

今回のまとめ

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回転効率も特に変わらないのでただ単に「溝の形状が変わった」のみ。

 

 

ヨーヨーをする際に爆発的に回転効率が上がった!といった類の恩恵はありません。

 

 

「俺は高速回転するベアリングにヤスリを当てて溝を掘った!」

という自信が人生に付加されたのみです。

 

 

 

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最後にベアリングの中身を掃除しようと小瓶に入れて洗浄。

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       割れました

 

 

幸いにも中の液体を捨てた後に亀裂が入ったので大惨事にはならずほっと胸をなでおろします。

 

瓶の破損は経年劣化的なものですが最初から最後まで踏んだり蹴ったりな実験に疲労困憊。

いろいろと初経験の連続だったため楽しかったですが、労力的な意味で二度とすることはないと思いました。

 

【本日の教訓】

コンケイブベアリングは¥1,990出して買うのが一番手っ取り早い。

 

 

 

 

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