時計の小傷を消してみよう 目立つ傷の除去とヘアラインの復活 -後編-


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前回に引き続き、時計の研磨を含むメンテナンス作業「ヘアライン加工編」


※ご紹介する方法はあくまで自己流のメンテナンス方法です。
思わぬ破損を招く恐れがあるため、実践する場合はくれぐれも自己責任で行ってください。


時計の洗浄、小さな傷の消し方は「前編」をご覧ください↓

ヘアラインの再生作業

工業用パッド(サビ取り研磨剤)の使用

「ヘアライン」を再生するにおいて必要不可欠なアイテム。

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主にサビ落としやシンクの油汚れを除去するためのスポンジ(垢すりっぽい?)ですが、荒めの紙やすりのような抵抗感があります。

こんなものでヘアラインが付くのか? とにわかに信じられない時期がありましたが、今となっては

「硬い金属に直線の傷を付ける」にはコイツしかいない!

と思えるほどの良い仕事をしてくれました。

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開封して表面全体に水を含ませます。

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研磨作業を同じく削る面の裏側にセロテープを貼ったを貼った状態で、ヘアライン付けを開始。

スポンジに適度な力で押しつけながら、ゆっくりと一定方向へ前後させます。

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ここで「ナナメ」に引こうものなら、今までの苦労が台無しになるため全神経を集中させて作業を繰り返しました。

「ベルトバックル」の部分もしっかりと擦りつけます。


細かい部分には「ベルト」を下に敷いた状態で、写真のようにパットを手に持ちライン付けを行います。

復活の「ヘアライン」

パットを擦りつける作業を繰り返すこと20分。

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均一な「ヘアライン」が復活しました。

文字盤部分の研磨作業

ベルトがある程度見通しがついたので文字盤の研磨作業に入ります。

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まずはガラス部分をマスキングテープで覆って、

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ハサミを用いて「円形」に切り取ります。

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ベルトと同じように「耐水ペーパー」→「スポンジ」→「パット」の順番で研磨。

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文字盤の裏側にあるヘアラインは「トラック状」になっており、旋盤等を使用しない限りは無理と判断。

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ベルトと同じく「前後」縦方向へラインを引くことにしました。

※ここは絶対にマネしちゃダメ!

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「鏡面(鏡のような箇所)」部分は「ピカール」を使用して、丁寧に小傷を消していきます。

以上で「研磨」→「ヘアライン付け(部分的に鏡面磨き)」の全行程が終了しました。

「研磨処理」前/後を比較

神経を遣う作業の連続のため、一日行える作業は数十分が限界です。

「仕事から帰って研磨」を繰り返し、トータルで1週間ほどの時間を費やしました。

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さて、補修前の状態からどのようになったのかを比較してみます。

-01-【ベルト表面


-02-【ベルトうら側

-03-【もっとも目立つ傷

ここは途中諦めた箇所でしたが付近に刻印もないため「せめてここだけでも!」と祈る気持ちで削ってました。

最終的にどのくらい薄くなってしまったのか判りませんが、窪み傷は綺麗サッパリ消えてくれたので結果オーライです。

-04-【ヒンジ表側

-05-【ヒンジうら側

-06-【ベルトバックル刻印

バックルの部分は「刻印」を削らないよう始終気を遣っていたため、一番時間が掛かりました。

正直「人生で2度と行いたくない作業」としてランキング入りしてます。

-07-【文字盤のフチ

フチの部分は「鏡面地についた傷」が予想以上に取れず、方針を変えて「ヘアライン加工」を施しています。

均一な力の入れ具合が必要とされたため、ここも時間が掛かりました。

-07-【文字盤の側面


今回一番楽だった「文字盤の側面」。

ただ “擦るだけ” の楽チン作業でした。

-09-【文字盤の裏面

ちょっと切ない結果になった「文字盤の裏面」

刻印が入っている部分だったこともあり、小傷を消す行程が上手く処理できず・・・。

直線のヘアラインを「無理に上書き」したため、光の加減によってはおかしな感じになってしまいました。

普段は見えないところなのがせめてもの救いか。

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総合的ににあまりにも「チタン」は硬かった!

途中で何度も「なんでこんなことやってんだろ?」と我に返ってました。

時間を掛ければ掛けるほど、仕上がりのレベルは上がっていくので、途中に充分な休息をしながら作業することをお奨めします。

最後に組み立て作業

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今までの苦行に思いを巡らせながら文字盤にベルトを組み立てます。

金属ベルトの組み立て手順もコチラから↓ 

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約1週間ぶりに元の姿に戻りました。

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手にとって全体をぐるりと眺めると

「本当に綺麗になったなぁ・・・」

と真面目な感想しか出てきませんでした。

本職の方に依頼さえすれば、さらに素晴らしい結果になることは間違いないと思います。

まとめ

今回行った全ての作業。

コストはそこまでかかりませんが、

「作業には半端ない程の“労力”と“時間”を要す。」

ため、よほどの愛着と作業内容に対する好奇心がないとお勧めできません。

また、何度も繰り返しているように「表面を削り落とす」作業なので、「研磨の辞め時」が判断しづらいことを何度も感じました。

今回の教訓

「時計のクリーニング作業」は本職の時計屋さんにお任せするのが賢明。

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