削り着いたその先に - 無垢板から削り出す「オリジナルカトラリー」の作り方 –

無垢の木材から削り出す“枝をモチーフにしたスプーン”を作ってみました。

加工から仕上げまでを電動工具に頼ることなく手作業で行っています。

いつもは “ウレタンニス” を使用して行う艶だし作業ですが今回は“意外なもの”を使ってみました。

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最近 「枝をモチーフにした木製のスプーン」 を目にする機会が多くあり、何度も見かけるうちに「これ、作ってみたいな」 という気持ちが少しずつ強くなってきました。

「無垢の木材さえ手に入ればわりと簡単にできそうじゃない?」と、軽いノリで作業を開始。

 

 

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まずは材料の選定から。

数ある木材の中で軽量かつ割れにくく、加工が容易な「アガチス」を選択しました。(ホームセンターにて368円(税込))

500円玉でおつりが来るリーズナブルっぷりにテンションが上がります。
(粘りのあるクルミが本命でしたが売ってなかったため断念)

 

 

 

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次にスプーンのデザインスケッチ。

描き出されたデザインは「枝感」に執着しすぎて攻撃的なものになってしまいました。

リアリティーのさじ加減を調整して単純化を目指します。

 

 

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「単純化」をコンセプトにデザインした2回目。

今度は単純すぎる気もしますが個人的にツボなのでこれを採用。

 

 

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決定したデザインスケッチを横目で確認しながら木材に描き込んでいきます。

 

ここから本格的な作業荷入ります。
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「ノコギリ」を使用して必要な部分だけを切り出し、

 

 

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「糸のこ」を使って、おおまかな形にカッティングしていきます。

 

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次に「小刀」と「彫刻刀」を使用してガンガン削っていきます。

 

 

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「アガチス」は軽い力でもサクサク削れる木材のため作業の効率は良いですが、力加減を誤ると意図しない方向へ刃が滑ってしまいます。

運が悪ければ大怪我にも繋がるため、慎重に作業を進めていきました。

 
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削る作業に疲れたのでちょっと休憩。

使うシーンを想像しながら使用感を検証してみます。

(´-`).oO( あ、コレちょっと良いかも・・・)


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親指に力を掛かけて削るため長時間行うと爪が剥がれそうになるので「テーピング」を指に巻いて作業を行う事をお勧めします。

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続いて「すくう」皿の部分を彫っていく作業を開始。

なるべく深めにしたいところですが、あまり掘り過ぎると底まで抜いてしまうため神経を遣う作業です。

 

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次に「木工用ヤスリ」を使って全体の角を落とし、丸みを付け整えて、

 

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イメージスケッチと照らし合わせて確認。

ここまでは良いペースで進んでいます。

 

 

 

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全体の荒削りを終えたところで、今回の「要」となる「枝部分」の削り出し作業に移ります。

ヤスリがけで消えてしまった鉛筆線を描き込むところからスタート。

 

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細かいヤスリを何種類も駆使しながら少しずつ丁寧に削ります。

 

 

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「緩い角度の溝」を掘るには先端が尖ったヤスリを「ケガキ針」のように何度も往復させることで成形していきます。

 

 

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「丸い溝」を掘るときは棒状のヤスリを使い、

 

 

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「エッジの効いた溝」を掘るためには平ヤスリを「のこぎり」のようにあてがって削ります。

 

 

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「枝部分の成形」と「溝彫り」が完成したらスプーン全体に軽くヤスリをかけて滑らかにしました。

 

 

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次に80番手の「サンドペーパー」を使って表面を研磨。

 

 

 

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全体が丸みを帯び、ゴツゴツしていた表面が滑らかになっていくのがわかります。

 

 

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「180番」→「400番」→「800番」とサンドペーパーの目を細かくして、

 

 

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最後は「1000番」を使用してツルツルにします。

仕上げに「エアーダスター」で木屑や粉を飛ばして「水分を含ませて固く絞った布」でサッと全体を拭き取れば完成!

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木の板から形を変えた「枝のスプーン」

デザインスケッチと並べても謙遜のない仕上がりに満足です。

 

これから最後の仕上げとなる「コーティング作業」に移るわけですが、今回のスプーンは口に入れる食器なので極力ウレタンニスは使いたくない・・・

 

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そこで集まっていただいたのは我が家の台所に籍を置く「食用油」の皆さま。

食用油を木に染み込ませることで「艶出し」と「コーティング」を施すことにしました。

 

 

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数ある油の中から 「なんか、カッコ良い」 という理由だけで「オリーブ油」を選択。

栓を開けて破れにくいティッシュ(キムワイプ)に染み込ませます。

 

 

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      / 黄色ッ!! \

(´-`).oO( これ・・・塗っちゃダメな色でしょ・・・)

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これまでの苦労が一瞬でご破算になる可能性に震えながら、少量のオリーブオイルをスプーンの目立たない箇所に塗布。

 

 

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  あ!意外とイケる!

 

 

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持ち手部分をなぞるように塗っていきます。

オイルが木目に振れた瞬間、スーッと染みこんでいく様がなんとも心地よい。

 

 

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大丈夫とわかればこっちのもの。

スプーン全体に素早くオイルを塗り、染みこんで乾いてから再度塗りこむことで木目の奥にも届くよう馴染ませました。

 

 

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「これ以上オイルが染み込まない状態」を確認して新聞紙の上に置き、風通しの良い場所でまる一日自然乾燥させます。

 

 

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手に持ってペタペタしなければ完成!

いざ使おうとするとなんだか勿体ない気持ちになったので、しばらくは「観賞用」として飾っておこうと思います。

 

 

【 後 日 談 】

カメラマン兼デザイナーのKさんに依頼して「枝のスプーン制作」の行程を写真に撮ってもらいました。

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わざわざスタジオに足を運んで本格的な撮影を決行。

木材と小刀を抱え、様々な構図を試しながらシャッターが押されていきます。

仕上がった写真は「さすが!」の一言。

普段は“平凡なキャラで定評のある自分” がありえないくらいにカッコ良く描写されており、そのギャップと満足感に震えます。

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アシスタントとして待機していたデザイナーのミムラさんも 無理矢理   小道具を持ってもらいパシャリ!

“オシャレ” かつ “スタイリッシュ” にスプーンを削り出すその姿は、

「女子力」以外に形容する言葉が見つかりません。

(´-`).oO( スタイリッシュ過ぎて暗殺者にも見える・・・)

 

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あまりに素材が良すぎたため、この写真を使用してちょっと遊んでみます。

 

 

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いろいろ考えた結果、「無印○品」っぽく加工してみました。

さりげないロハス感が最高に COOL! ですね。

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