近場の山で「藪漕ぎ」(やぶこぎ)をしてみよう - 無謀編 –

登山をした方ならば一度は耳にしたことのある(?)「藪漕ぎ」。

今回はいろいろと行き当たりばったりでダメな“藪漕ぎ”の例をご紹介します。
計画性のある藪漕ぎ方法はコチラから

 

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※この写真が今回のすべてを物語っています。

 

~ 2017年 5月30日 追記 ~

改めて記事を読み返してみると「藪漕ぎ」と呼ぶにはお粗末な内容だと感じました。

「藪漕ぎ」で検索後、期待を持って来て頂いた方々にお詫び申し上げます。

 

 

その後、何度もチャレンジを繰り返し、こんな感じの道なき道↓(生い茂る草で頭までスッポリと埋まります)を闊歩することにも抵抗がなくなりました。

そんな中、春から秋にかけての登山で避けては通れない「虫の問題」について。

「藪漕ぎ」では肌に密接する形で木々や草花が全身に当たり続けるので特に弾性のある枝からのムチ打ち状態は非常に危険)、常に体のどこかには虫が接触しています。

長袖や首を保護するタオル、顔を覆うタイプのバラクラバ(目出し帽)や防塵グラスは必須のアイテムでした。

 

特に「蜂」や「蚊」といった “ 向こうから危害を与えてくる系”の虫 は、なるべく先手を打った防衛手段が必要になります。

いろいろ試してみましたが、虫除けには “煙を周囲に発生させる蚊取り線香系のアイテム” が個人的に一番信頼できると思いました。

 

「富士綿 パワー森林香」

 

超が付くほどアナログかつローテクな印象を醸し出す見た目ですが、これ以上改善点が無いくらいの完成度を誇るアイテム。

 

山頂での昼食中、の前に現れたスズメバチが煙に触れた瞬間、遠くへ逃げていく事態を目の当たりにして以来、無条件の信頼を寄せています。

 

6時間ほどの登山ならば線香1本で対応可能。

 

容器の裏側には予備のカートリッジが2本収納できます。

 

※ 火を使うアイテムのため、取り扱いには充分な注意をお願いします。

 

~ 追記ここまで ~

 

 

 

魅惑の「YA BU KO GI」

 

最近 “山関連”の話題を口にする機会が増え、その筋の先輩から

藪漕ぎすると別世界が待っていますよ

と御意見を頂く機会がありました。

 

(´-`)「藪・・・漕ぎ・・・? 」

 

少なくとも自分の知識内には無い言葉でした。むしろ読み方すら判らないレベルです。

“手書き検索”を使うのもためらう程の画数にゲンナリしたので「わだちこぎ」とか「まきこぎ」など、少ない知識を総動員して思いつく限りの読み方で検索をします。

 

 

 

結局該当する単語が見あたらなかったので「登山」「漕ぎ」で検索することでようやく発見。

「藪漕ぎ」(やぶこぎ・YA BU KO GI)

と読むそうです。 正直読み方が判明してもどんなアグレッシブな行為なのか想像がつきません。


 

藪漕ぎ wikipedia

藪漕ぎ(やぶこぎ)とは、ササや雑草、タケ、灌木等が繁茂し進行がままならない山野をかき分けて進む様子を表した言葉である。


Wikiを読んだり、画像検索でヒットした写真を見てようやく把握。

“正式な山道にて頂上に辿り着くのではなく、草木生い茂る「道無き道」を独力で登っていく”と解釈すれば良いみたいです。

 

 

 

「なにこれ? 面白そうじゃない!」

 

今思えば“ 近所の山を数回登った程度の実力 ”でアウトローな登り方を行うなど軽率な判断でしたが、この時は目の前のワクワク感が勝ってました。

急遽週末の予定を変更して会社の近所にある標高200m前後の低い山を選択。
いつもより軽めの装備で荷物を整えることにしました。

 

無計画な入山

 

 

~2日後 (1月11日の日曜日)~

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天気は快晴。

年末から続く暖冬のお陰で軽めの防寒着で行けそうな気温です。

 

前方に本日登る山がうっすらと見えてきました。

 

 

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「岩滝山」所在地:岡山県倉敷市児島田の口

 

標高167 mと手軽で整地された山道もあり、勾配もそう急ではないため「藪漕ぎ初体験」にはベストな山のようです。

遠くからだと「ちょっと低過ぎたかな?」と思っていましたが、いざ近くで見てみると結構な高さを感じます。

地理的に落石が多い地域なのでゴツゴツした大きな岩が山頂付近に犇めいており、文明から切り離された感が凄い・・・。

 

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時刻は午前9時48分。

陽も高くなり気温はどんどん暖かくなってきており、簡単な運動でも汗を搔いてしまいそうです。

 

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下調べしたルートだと海沿いの駐車場付近に鎮座する鳥居からスタート。

 

 

 

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鳥居を抜けると神社が姿を現しました。

ご神木? 大きさからして結構な樹齢に思えます。

 

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古・・・墳・・・ だと?

ご近所なのにまったくノーマークなミステリースポットの出現に一瞬戸惑います。

神社の境内で古墳とか、これから起こる出来事を暗示させるような展開・・・。

 

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雰囲気たっぷりな風景。

登る山は決めているものの、行き当たりばったりで下調べを怠っていたため山の入り口が判りません。

 

とりあえず「上方向へ登ればなんらか手がかりは見つかる」と信じてズイズイ進んで行きます。

 

 

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そのまま進んでいくと人の気配はどんどん少なくなり、代わりに墓石の量が加速度的に増えてきました。

晴天の日曜日、冬場にしてはやや暖かい気温なのに視覚から入ってくる風景のお陰で体感温度はガンガン下がっていきます。

 

道らしき道を選んでいきますがコンクリートで整地された道は土に、土からけもの道へと変わり・・・

 

 

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とうとう道が無くなってしまいました。

結構な時間を歩いたため「ロスしたなぁ・・・」とうなだれつつ「それらしき道って他にあったっけ?」と記憶を辿ります。

 

 

道なきみち

 

目の前にある落ち葉の傾斜がなんとなく道にも見えるよなぁ・・・とボンヤリ考えながら・・・

 

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あれ? なんかここって入り口に見えない?

と警戒心ゼロの緩〜い気持ちが湧き上がるのですが、

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「ここけッ?! こんなところ進むんけ?」

内心では自分の直感を信じ切れていない懐疑心が大音量で響いていました。

 

 

 

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ちゃんと整地された道にはほど遠い感じですが、樹木が密集している感は特になく、“とりあえず上に向かって進む坂”にはなっています。

これから登山道入り口を探すのも時間のロスと考え入山開始。

「途中で行き止まりや危険箇所に足止めを食らった場合は問答無用で引き返す」

と自分に言い聞かせ歩を進めました。

 

 

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登山開始5分くらいは「こんな行き当たりばったりな感覚は中学校以来だ!」

とイキイキした表情+足取りで登って行けたのですが、整地されていない坂道を10分もノンストップで登っていくとゼェゼェ・・・と息も上がり始めました。

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ふと、歩を止めて小休憩。

お茶を飲んでひと息つき辺りを見渡すと、生い茂る木々に日の光を遮られた薄暗い世界。

「不気味・・・」

と、ようやく自分が今置かれている現状を理解し始める余裕が出てきました。

周囲には自分以外の人の気配はなく、何かの獣の鳴き声がギーギーこだましています。

 

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視界が届かない範囲に何者かが入ってくることが怖くなったので、とりあえず「上に進むことだけ」を考えて登山再開。

坂の勾配もきつくなり、足下に落ちたフワフワの落ち葉の滑りやすいこと。

踏みしめては数cm滑るので、細い枯れ枝を見つけては踏みしめては進みます。

 

 

 

 

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しっかりした木を見つけては体を引き寄せて“ 腕力の補助無し”では登れなくなってきた矢先、手にかけた幹が折れて転倒。

数m滑り落ちて全身枯れ葉まみれ、近年搔いたことのない類の冷や汗をかきました。

バックパックが緩衝材となり怪我はなかったものの、今の状況を冷静に見つめ直さざるを得ない心境になります。

 

とりあえず体制を整えどこか体を休めるところまで移動しようとした矢先、バック側面に挿していたお茶のペットボトルが無いことに驚き激しく動揺。

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枯れ葉の保護色で分かりにくかったこともあり発見に手惑いましたが、3m程下へ転がっていた状態で発見。

「貴重な水分!」

と駆け寄って拾い上げた瞬間、自分は何やってるだろ・・・と気持ちがどんどん冷えていく感覚を感じました。

 

 

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平らになった場所で本日2度目の小休憩。

「登る」か「降りるか」を真剣に考えますが「苦労してここまで来たんだから・・・」といった素人感丸出しの考えにより続行を選択。

これから登っていくルートを設定するため周囲を見渡すと、元々“自然石”が所々に隆起してた地形でしたが登っていく度にその大きさは増していき、「岩」から「壁」と形容した方が相応しいレベルの大きさが鎮座しています。

 

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木のうねり方も不自然なものが多くなり、藪漕ぎ開始直後の明るい感覚はどこへやら?

文明が一切ない非日常っぷり、かつ不気味さで

「振り返ったら“ 鎌を持った老婆 ”とかいたりして・・・」

と“野生の獣”より “人の形をしたなにか” に対して真面目に震えます。

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途中 “見たことないほど散乱しまくった鳥の羽” とか “そんなに時間の経ってない獣の排泄物”等を目の当たりにしてながら上へ・・・ さらに上へ。

 

 

 

「回避不能な行き止まり」と「赤色」

 

 

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とうとう自力では越えることができないレベルの岩壁が出現。

何パターンかの迂回ルートを見つけて這い上がろうとするも、登れたところでさらに困難な岩場の連続を目の当たりにすることで「下山」という単語がようやく脳裏に浮かびました。

登るのは困難でしたが、「降りていくのは地滑りを気をつけて慎重に行えば大丈夫だ!」と現状からの開放に安堵して最後の迂回ルートから身を引こうとすると、

 

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1本のペットボトルを発見。

いつもの自分なら「ただのゴミ」と写るところですが今回は、

「文明だ!!!」

と大興奮。

「ゴミが落ちている」ということは確実に誰かがここを通っていったという証拠です。
状態も新しく、どこかから転がってきたという気配もありません。

あきらかに今までと違う人工物との遭遇に「下山」という選択肢はなくなりました。

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ペットボトルを辿り細心の注意を払って登っていくと「ヨーグルトのカップ」やら「ビールの空き缶」等、「普通に誰かが生活してるのか?」と首を傾げたくなる不自然なゴミが続きました。

そんな中、藪の隙間からあきらかに自然のものではない「赤色」を発見。

弓の如くしなる枝の殴打を顔面に受けながら一気に駆け上がることだけ考えます。

 

 

 

 

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藪を抜けるとちゃんと整地された階段の先に鳥居を発見!

瞬間、無意識で

 

「うわあああああああ!!\(;´Д`)/」

 

と全身を高揚させて叫んでました。

 

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振り返ると正規の山道を発見。

無論のこと“人が登りやすいように「平ら」かつ「安全」な状態”です。

「今までの苦労は・・・」

20秒ほど現実を把握するのに時間を要します。

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↑ ↑ ↑
整地された正規の登山道。

 

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 ↑ ↑ ↑
先ほどまで死にものぐるいで登ってきた坂。

 

 

 

 (´Д`) ・・・。

 

 

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鳥居を抜けると自然石でできた社がありました。

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低い山と聞いていましたが、先ほどまでが散々な状態だったため障害物のない状態で見る景色は最高に写ります。

 

 

山頂へ

 

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10分ほど休憩した後で登山を再開。

「これからはちゃんとした状態の山道で行ける!」

と今まで以上に幸福な気持ちで進んでいきます。

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途中木々に貼り付けられた赤いビニールテープを頼りに進み、

 

 

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おおよそ頂上付近であろう林を抜けると、

 

 

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目の前は一面の開放エリア。

 

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大きな岩で構成された5m四方のフリースペースがそこにありました。

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向かって右手には地元の街。

 

 

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視線を左側に移せば瀬戸内海を一望できます。


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10分程、だたひたすら“そこにいる”状態を満喫。

今までの経緯を思い出しながら感慨深い気持ちに浸ります。
だれもいないのでセルフ撮影など恥ずかしくありません

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お待ちかねのクッキングタイム。

本日はアルファ米の牛丼とフリーズドライのトマトクリームパスタ。

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眼下に絶景を楽しみながらゆっくりと食事。

 

 

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空にはおびただしい数の鳥類。

猛禽類多し。
登山中に見た鳥の羽はこれだったのか・・・。

下山開始

 

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景色を目に焼き付けて下山を開始。

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今度はちゃんとした登山道を通って帰ります。

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10分も歩けば街並みが確認できる範囲の高度まで降りてきました。

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竹とススキで埋め尽くされた墓地を横目に

「あぁ、日本に生まれて良かったなぁ・・・」

と情緒に浸れるまで精神状態は回復。
つい数時間前の殺伐とした状況から考えれば、自然にこのような思考回路になってしまいます。

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次に登ることも考えて、正規の登山口を確認。
入山した場所からそう遠く離れていない場所でした・・・

腕時計を確認すると14時12分。

実質4時間内に起こった出来事ですが、感覚的には1日に匹敵するレベルでした。

 

 

反省と今後の課題

 

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帰り路にて見上げた山。

自分が数十分前にいた岩場を確認すると「ただの点」でした。
現実は人の数倍はある大きさの岩だったのに・・・

 

「あぁ、自分はあそこまで登ったのか」

 

と充実感に満たされた気持ちです。

平らな地面に足を付け、今日の出来事を思い返すと「無謀」以外の何者でもありませんでした。
面白おかしく記事にはまとめていますが 、日常的に登山をされる方々から見れば「命に関わる危険行為」と叱咤されても仕方のないことです。

「いい歳した大人が勢いとテンションだけではしゃいですることではないな・・・」

と自責の念を込めてまとめてみました。

 

 

ということで、

 

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「安全を考慮に入れた方法」での藪漕ぎに挑戦して来ましたのでご報告します。

 

 

 

 

 

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